2016年11月9日水曜日

嫌われ者大王から次期大統領へ

今年の夏休みに Amazon Books で見つけて、笑いながら読んだドナルド・トランプ氏のコメディ本。まさか本当に選挙で勝ってしまうとは思っていなかったのですが、日曜日に松本夫妻を連れて Amazon Books に行った時にもまだ人気のコメディ本として売られていて、何気に二人にもこの VOLTRUMP イニシアチブの写真を見せたりしていたのですが、トランプ氏所有のビルでロボットが作れてしまうかどうかは別として、改めてトランプ氏が来年からこの国の大統領になるんだな~と、朝のニュースを見ながら思いました。

所詮選挙権のない外国人の戯れ事ですが、昨晩から今朝の選挙速報やニュースを見て思った事やら感想などを少々...

苦すぎる敗北を味わう直前のヒラリー氏は、キャンペーンの最後をオバマ大統領夫妻やら、Bon Jovi や、Lady Gaga、Bruce Springsteen など、オールスター勢揃いの中派手なフィニッシュを決め勢いに乗っていて、誰もが女性初の大統領の誕生を信じていました。一方トランプ氏の方は、地道にキャンペーンの最後のスピーチをしていたのですが、その時にトランプ氏が言っていた事で、なるほど確かに... と思った事が二つ... 一つは、ヒラリー氏は、人がいないから有名人(芸能人)を呼んで人を集めている(けれど、それは彼女のために集まっているのではない)、一方トランプ氏の集会では、たくさんの支持者が集まっているのに、テレビに映るのは自分の顔だけなんだ... (自分の背後にいるこんなにたくさんの支持者の存在が映る事はないんだ)と。ヒラリー氏は、選挙に勝った時に打ち上げる花火も用意していたそうですが、その花火は打ち上げらることがないまま、深夜の午前 2 時過ぎに、ヒラリー氏の選挙運動(キャンペーン)の責任者を務める John Podesta が、ヒラリーは今夜はもう登場しない事を告げ、勝利宣言を待っているうちに敗北が決まってしまい、会場で待っていた支持者達に家に帰って休むよう告げ、ヒラリー陣営は長い投票日を終えました。


その後トランプ氏の勝利宣言があり、ヒラリー氏から当選を祝う電話を貰った事や、支持者や家族やスタッフへの感謝の気持ちを穏やかなトーンで語り、敗退したヒラリー氏へのねぎらいの言葉などもスピーチには含まれ、少し大統領らしくなったトランプ氏の姿が新鮮でした。本人も勝てるとは思っていなかった(か、少なくとも半信半疑だったのでは?)と思います。

一夜明けて、クリントン氏の敗北宣言スピーチの前に、まず共和党員で下院議長を務める Paul Ryan のスピーチがあり、そのスピーチにいたく感動した自分。彼のスピーチの冒頭で、『Let me just say, this is the most incredible political feat I have seen in my lifetime と語り、Paul Ryan のような良識のある政治家の口から出た、トランプ氏の勝利を称える言葉は、聞いている自分の方がジーンと来るスピーチでした。Paul Ryan は、選挙活動中のトランプ氏の度重なる暴言やら大統領候補に適さない言動に、共和党員の立場からも難色を見せていましたが、それに対するトランプ氏は、名指しの悪口で対抗するなど、実に大統領候補らしからぬ態度をそれまでとっていたのですが、今朝の Paul Ryan のスピーチは、そんなトランプ氏との過去はさておき、これまでどの政治家も成し得なかった偉業を彼は達成したんだよ、共和党の議席が増えたのはトランプ氏のおかげだ、と、素直にトランプ氏の勝利と功績を称え、新しいリーダーの下での新しいゲーム展開に向け、トランプ氏を共和党として支えて行く姿勢を見せたのがよかったです。

そしてヒラリー氏の敗北宣言。これまで自分はヒラリー氏のスピーチはそんなに好きではなかったのですが、この敗北宣言が一番心がこもった(彼女の本心を語った)スピーチに感じましたが、後半はなんだかちょっと長かった気がしないでもないですが... 彼女のスピーチで好きになれない所は、スラスラとよどみなく出て来る定型文か教科書のようなスピーチで、もっともらしいことを、もっともらしい口調で話し始めると、なんだかもうお腹いっぱいです... と言いたくなってしまうヒラリー氏のスピーチでした。ただ、彼女のスピーチの後に流れていた、ニュースキャスターだか誰かのコメントが切ないほどに真実を語っている気がして、(好きな候補者ではなかったものの)お疲れ様... と思いました。そのコメントとは、所謂 Good Girl (優等生)がすべての宿題を済ませ、何もかもきちんとやったのに、それでも最後に勝つのは誰か他の人で、報われない結果に終わってしまった... というようなコメントで、男性、女性共にそういう事はあるかな... と(例えば仕事で美味しい所だけ持って行かれてしまうとか、実際に一番プロジェクトに貢献した人ではない人が昇進するとか...)ヒラリー氏が 4 年後にもう一度挑戦するのかは定かではありませんが、この敗北で彼女が政界から消えてしまうような事があったら残念だなと思いました。

オバマ大統領の朝の会見では、当選するまではトランプ氏の人柄を猛烈に批判していたオバマ大統領ですが、次期大統領に決まった今となっては、スムーズな政権交代に向けて共に協力し合う事が大事という姿勢を見せていましたが、やはりトーンは落胆気味でした。敗北を喫したのはヒラリー氏ですが、ヒラリー氏が嫌いな人達だけでなく、オバマ政権の延長はもう要らないです、という民意の現れでもあるという点ではオバマ大統領にも少し責任があるような気がします...

トランプ氏自身は横柄な所もありますが、副大統領になる Mike Pence(マイク ペンス)は本当に良い人選だったと思います(
トランプ氏の事は嫌いでも Mike Pence は信頼できる、と思える人は結構いるのでは?)。トランプ氏が大統領になっても、一人の力で何もかもが変えられるわけでもないので、彼の政権の主要メンバーには Mike Pence のような信頼できそうな人達が揃う事を願います。トランプ氏がどこまで勝利を確信していたのかわかりませんが、当選して一番驚いたのは Mike Pence と彼の奥さんだったのではないかな^^? と、嬉しそうな笑顔でテレビに映る二人を見て思いました。

ところでトランプ氏の勝因を自分なりに分析してみると、やはりこれまであまり政治にも関心がなく、忘れ去られた存在の(アメリカの田舎町に住むあまり裕福ではない)アメリカ人層に彼の声が届いたのだろう... と思いました。シアトル市内ではほとんど見かけませんが、ほんの少し田舎の方に行くと、トランプ氏を支援する選挙看板が畑の隅やら道路脇に立ててあり、逆にヒラリー氏の看板は 100 マイル走っても一つも見かけないといった現状で、見渡す限り畑しかない地域に住むアメリカ人の人達の票がトランプ氏の勝利を後押ししたのだろうな~と思います。あとは、バーニー・サンダース氏を支持していた人達の票が全部ヒラリー氏に流れなかったのだろうとも思います。これは、ヒラリー氏の民主党支持者内での人気の無さを物語っていると思います。蓋を開けてみたら、歴史的な偉業を達成していたトランプ氏。長年民主党色の強い州で、共和党が勝てずにいた州を、最悪の大統領候補と思われていたトランプ氏が共和党の州に塗り替えた、という事実や、選挙前から "もう終わっている" と思っていた共和党が、まさかの過半数超えという想定外の吉報に湧いた一日でした。

今日は(予想通りと言えば予想通り?)国内各地で反トランプデモが行われていますが、街中で暴れても選挙の結果はひっくり返らないので、来年の大統領就任式までにはこういったゴタゴタがある程度収束していますよう...